日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)の1つとして計画されている長崎のオランダ風テーマパーク、ハウステンボスが売却される予定です。
大手旅行会社のHISはハウステンボスの運営会社の株式の66%余りを保有し残りは九州電力や九州旅客鉄道などが所有しています。
ハウステンボスの売却を検討しており、香港の投資会社を含むさまざまな団体と交渉中と報道されています。
HISが新型コロナのパンデミックの影響で主力の海外旅行事業の回復が遅れたことなどから、ことし4月までの半年間の決算がこの時期としては過去最大の260億円余りの最終赤字に陥りました。
業績が悪化する中、財務内容を改善するねらいがあるとみられます。
ハウステンボスは、2021年3月期の営業損失が2億1800万円(200万米ドル)となり、2020年度の1億6000万円(150万米ドル)から減少し、来場者数が急減しました。
1992年にオープンし、約152ヘクタールの広大な敷地は、東京ディズニーリゾートの1.5倍の広さで、ハウステンボスは1996年に記録的な380万人の来客数を集めましたが、その後数年、2003年に破産を宣言しました。2010年4月にHISが所有権を取得する前に、再編成計画により一時的な救済が提供されました。
その後HISにより、新型コロナの感染拡大前には、ハウステンボスはオープン以来初めて黒字になりました。
テーマパークの西側にある31ヘクタールの区画は、長崎とその運営パートナーであるカジノオーストリアインターナショナルジャパンが4月に日本政府にIR計画書を提出したことで、日本初のIRの1つを建設するために提案されたままです。
【佐世保市長は】
佐世保市の朝長則男市長は取材に対して、「HISが発表したコメント以上のことは知らない。HISの創業者の澤田秀雄さんにはかつてハウステンボスの経営危機を救ってもらったという恩義を感じているので、できれば継続してほしいが、それはHISが判断することなので、私からはそれ以上のことは言えない」と述べました。
そのうえで、長崎県が国に申請中の、ハウステンボスにカジノを含むIR=統合型リゾート施設を誘致する計画について「資本の移動はどこにでもある話であり、仮に資本の移動があってもIRの計画に影響はないと考えている。佐世保市としては事業を継続してもらい、雇用をしっかり確保してもらうということが担保されればよい」と述べました。
【長崎県は】
ハウステンボスにカジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致を目指して「区域整備計画」を策定し、ことし4月、国に申請し現在審査中です。
ハウステンボスの親会社の大手旅行会社HISが運営会社の株式を売却する方向で検討していることについて、長崎県IR推進課は「関連の報道やHISが発表したコメントは把握しているが、現段階で県が特にコメントすることはない。引き続き情報収集に努める」としています。